総務
タイガー
ご相談させてください。3階建ての自社ビルで総務をしております。1階が受付と倉庫、2階・3階が執務室なんですが、コピー用紙や書類の箱を、毎日階段で上げ下げしていまして…。
MEC
タイガー
よくうかがうお話です。結論から申し上げると、そのために使われている設備が小荷物専用昇降機(ダムウェーター)です。荷物だけを階の間で運ぶ、小さな昇降機だとお考えください。
総務
タイガー
えっ、飲食店やお店で使うものだと思っていました。オフィスでも入るんですか?
MEC
タイガー
入ります。オフィスは「軽いものを少しずつ」に見えて、実は紙と備品で重いものが毎日動いている場所です。むしろ、それに気づいていない会社さんのほうが多いくらいですよ。
階の間を動いているものを書き出してみると、思ったより多いことに気づきます。共通しているのは「紙が重い」「人が手で運んでいる」「誰の仕事か決まっていない」という3つです。
| 運ぶもの | どんな場面か |
|---|---|
| コピー用紙・封筒 | 倉庫から各階へ補充。紙は見た目よりずっと重い |
| 書類・ファイルの箱 | 保管庫への出し入れ。決算期・年度末に一気に動く |
| 郵便物・宅配便 | 1階で受け取って各階へ。1日に何往復も発生する |
| 備品・消耗品のストック | 文具、飲料、トイレットペーパー、什器の部材など |
| 会議の資料・お茶・弁当 | 会議室が別の階にあると、開始前にまとめて運ぶ |
| 廃棄書類・シュレッダーくず | 各階から下ろす方向。紙の廃棄は特に重い |
💡 「紙の重さ」は、たいてい見くびられています。
コピー用紙の箱も、書類を詰めた段ボールも、持ち上げれば両手がふさがります。両手がふさがった状態で階段を降りるということは、手すりをつかめないということです。オフィスの階段でのヒヤリは、たいていこの形で起きます。
総務
タイガー
…お恥ずかしい話ですが、うちも段差で足を踏み外しかけた者がおります。書類の箱を抱えていて、下が見えていなかったようで。
来客用のエレベーターに、段ボールを積んだ台車が乗り込む——オフィスビルでよく見る光景ですが、同乗されたお客様から見て、決して気持ちのよいものではありません。 荷物専用の通り道ができると、来客の前を荷物が通らなくなります。
郵便を各階へ配る、用紙を補充する、会議の資料を運ぶ。ひとつひとつは数分でも、階段の上り下りは1日を通すとまとまった時間になります。 しかもこの時間は、担当者が席を離れている時間でもあります。
「重い荷物は、いつもあの人が運んでくれている」——この状態は、その方が異動や退職でいなくなった瞬間に困ります。設備で運べるようにしておけば、誰が担当でも同じように回せます。
書類の保管場所を入れ替える、島の配置を組み替える。普段は静かでも、年に数回どっと荷物が動く日があります。 その日に人海戦術を組まなくて済むのは、総務にとって大きな違いです。
| タイプ | 向いている使い方 |
|---|---|
| テーブルタイプ | 出し入れ口が腰の高さ。書類・郵便・小箱をかがまずに受け渡したいオフィスでは、これが基本 |
| フロアタイプ | 出し入れ口が床の近く。台車ごと載せたいとき。倉庫と執務室を結ぶ場合に向く |
| ユニットタイプ | 昇降路と一体。いまある建物に後から付けたいときの選択肢になりやすい |
オフィスではテーブルタイプを選ばれることが多くなります。運ぶものが書類や小箱中心で、受け渡しが立ったままできるためです。ただし、倉庫から台車で運びたいのであればフロアタイプです。「いちばん多く運ぶものは何か」で決めてください。
MEC
タイガー
ひとつ、必ずお伝えしていることを。小荷物専用昇降機は荷物を運ぶもので、人は乗れません。 積載量にも上限があります。オフィスは「紙だから軽いだろう」と積み増されがちなので、ここは全員に共有してください。
✅ ① どこからどこへ運ぶか
1階の受付・倉庫のどこに載せ口を作り、各階のどこで受けるか。執務室のいちばん奥ではなく、総務や庶務の席から近い場所が実用的です。
✅ ② 何を、どれだけ載せるか
いちばん重いもの・いちばん大きいものを基準に考えます。台車ごと載せたいなら、その台車の寸法を測っておいてください。 ここから、かごの大きさと積載量が決まります。
✅ ③ 誰が管理するか
オフィスは使う人が多く、「みんなのもの」は「誰も見ない設備」になりがちです。総務の誰が管理者か、異常に気づいたら誰に言うかを、最初に決めておいてください。
✅ ④ 電源が足りるか
機種によっては動力(三相200V)が必要です。建物にすでに来ているかを先に確認しておくと、後から慌てずに済みます。
これがオフィス最大の論点です。工場や厨房と違い、オフィスは静かな場所。発進・停止のたびに「ガコン」と鳴れば、集中している人の手が止まります。動かし方(制御方式)によって音と揺れは大きく変わりますので、設置場所とあわせて必ず相談してください。 詳しくは音がうるさい・揺れるときの記事もご覧ください。
オフィスでは何十人もが同じ設備を使います。「人が乗ってはいけない」「決まった重さを超えて積まない」は、口頭だけでは必ず薄れます。 出し入れ口に掲示を出す、新入社員の案内に入れる。あわせてキースイッチ(運転休止スイッチ)を付けておけば、鍵を抜いている間は動かせません。
オフィス特有の心配がこれです。運んだ先に受け取る人がいないと、人事・経理の書類が、誰でも取れる場所に残ってしまいます。 着床を知らせるブザーや呼び出しボタンを付ける、載せ口を人目のある場所にする、鍵をかけられるようにする——どれも設計の段階で決めておくことです。「運ぶものに機密が含まれる」と、最初に伝えてください。
⚠️ テナントとして入居している場合は、順番に注意してください。
建物に手を入れる工事になるため、貸主(オーナー・管理会社)の承諾が先です。ビルによっては工事できる時間帯や搬入経路の決まりもあります。機種を決めてから相談すると、やり直しになることがあります。
MEC
タイガー
まずは一度ビルを拝見するのがいちばん早いです。階段や倉庫の位置、各階のどこで受けたいか、電源の状況を見せていただければ、どのタイプが入るか、工事をどう組めるかを具体的にお話しできます。
総務
タイガー
助かります。まず社内で「何を、どの階へ、1日何回運んでいるか」を数えてみます。音の話も、役員に説明する材料になりそうです。
Qすでに人用のエレベーターがあります。それでは足りませんか?
足りているならご無理には申しません。ただ、来客や社員と荷物が同じ箱に乗ることになります。 台車がかごを占有して待たせてしまう、扉に傷がつく、といったご相談もよくいただきます。荷物の量が多いビルほど、動線を分けた効果が出ます。
Qいま使っているビルに、後から付けられますか?
付けられる場合が多いです。分かれ目は、昇降路(昇降機が上下する筒状の空間)をつくる場所が取れるか。昇降路と一体になったユニットタイプなら、既存の建物にも収めやすくなります。まずは現地を拝見して、置ける場所があるかを見させてください。
Q工事は営業しながらできますか。何日かかりますか?
建物の状況や機種で大きく変わるため、現地を見ないと日数はお答えできません。オフィスの場合は、土日や夜間に分けて進める組み方をご相談いただくことが多いです。電話や図面だけで即答された日数は、後から延びることがあります。
Q賃貸ビルに入居しています。退去するときはどうなりますか?
設置する前に、撤去するのか置いていくのかを貸主と書面で決めておいてください。後から話し合うと、必ずもめます。費用の負担や、その後の点検を誰が持つかについては、貸主と借主の責任分担の記事で詳しく説明しています。
Q設置したあと、点検や検査は必要ですか?
日々の保守点検は欠かせません。さらに機種によっては、年1回の定期検査報告が法律で義務づけられています。出さないままにすると罰則の対象になりますので、こちらの記事もあわせてご覧ください。導入を検討する段階から、その後にかかる費用まで含めてお考えください。
オフィスビルは「軽いものばかり」に見えて、紙と備品が毎日たくさん動いています。小荷物専用昇降機は、その運搬を人の手から切り離す設備です。
① まず「何を、どの階へ、1日何回」運んでいるかを数える。廃棄書類など下ろす方向も忘れずに
② 書類・郵便中心ならテーブルタイプ、台車ごとならフロアタイプ
③ 執務室が静かなぶん、音と揺れは条件に入れる。動かし方で大きく変わります
④ 使う人が多いので、管理者と運用ルールを最初に決める。キースイッチも有効
⑤ 機密書類を運ぶなら、その前提で設計を相談する。置きっぱなしにしない工夫を
なお、小荷物専用昇降機は荷物専用で、人は乗れません。積載量の上限も決まっています。この2点は、新しく入られた方にも必ず伝えてください。
「うちのビルに入るのか」「どのタイプが合うか」「静かに動かせるのか」——お気軽にご相談ください。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木を中心とした関東圏で対応しております。