サラリーマン
タイガー
お知恵を貸してください。2階のテナントさんから「昇降機の音がうるさい」と苦情が来てしまいまして。特に夜、静かな時間に響くそうなんです。
MEC
タイガー
それは気を揉まれますね。音のご相談は少なくありません。ひとつ伺わせてください。その音は、どのタイミングで鳴りますか? 動き出すときですか、動いている間ずっとですか。
サラリーマン
タイガー
言われてみれば…。「ガコン」と動き出して、止まるときも「ガクン」と。走っている間はそこまでではないんです。あと、止まった瞬間に床が少し揺れる感じがすると。
MEC
タイガー
よく分かりました。いつ鳴るかで、原因はかなり絞れます。いまのお話ですと、点検で調整できる部分と、制御方式そのものが関わっている可能性の両方が考えられます。順に見ていきましょう。
音の相談で最初に伺うのがこれです。鳴るタイミングが分かるだけで、原因の見当が大きく絞れます。
| いつ鳴るか | 考えられること |
|---|---|
| 動き出すとき・止まるとき 「ガコン」「ガクン」 |
ブレーキの調整、または制御方式そのもの |
| 走っている間ずっと 「ゴロゴロ」「キーッ」 |
ガイドレールとの擦れ、潤滑切れ、ガイドシューまたはローラーの摩耗 |
| 特定の階を通るときだけ | レールの継ぎ目、固定金具のゆるみ |
| 扉を開け閉めするとき | 扉のレール・ワイヤーの傷み、戸車(プーリー)の摩耗 |
| 機械室のほうから 「ウーン」という唸り |
巻上機の劣化、防振ゴムのへたり |
💡 音をスマホで録っておいてください。
点検に伺ったときに限って鳴らない、ということがよくあります。10秒でも録音があれば、聞いただけで見当がつくことも多いのです。「どの階からどの階へ動かしたときか」も一緒にメモしておくと、さらに絞れます。
音の相談のうち、かなりの割合が調整・給油・部品交換で落ち着きます。大がかりな工事にはならないことのほうが多い、と考えていただいて構いません。
かごはガイドレールに沿って上下します。その接する部分の油が切れたり、ガイドシューまたはローラーがすり減ったりすると、擦れる音が出ます。 走行中ずっと鳴るタイプの音は、ここが原因のことが多くあります。
長年の振動で、レールを留めている金具などが少しずつゆるみます。特定の階を通るときだけ音がする場合は、ここを疑います。締め直しで収まることがほとんどです。
扉のレールにゴミが溜まったり、戸車(プーリー)がすり減ったりすると、開け閉めのたびに音が出ます。扉が重く感じるようになっていたら、同じ原因のことが多いです。
巻上機の下には、振動を建物に伝えないためのゴムが入っています。これが硬くなると、機械の揺れがそのまま建物に伝わります。「音というより床が揺れる」というご相談では、ここを確認します。
サラリーマン
タイガー
思ったより身近な話でした。ただ、うちは「ガクン」と止まるほうなんです。さきほど「制御方式」とおっしゃいましたが、あれは何でしょうか?
小荷物専用昇降機の動かし方には、大きく2つの方式があります。AC1制御とインバータ制御です。
古くからあるAC1制御は、モーターへの電気をオン・オフで切り替えて動かす仕組みです。構造が簡単で部品の費用も抑えられますが、動き出しと止まりが「入るか、切れるか」の二択になります。この切り替わりの衝撃が、そのまま「ガコン」「ガクン」という音と揺れになって出ます。
一方のインバータ制御は、モーターへの電気を細かく調整しながら速度を変える仕組みです。ゆっくり動き出し、滑らかに加速し、ゆっくり減速して止まります。 衝撃が出るきっかけそのものがないので、発進・停止の音が大きく変わります。
| AC1制御(従来) | インバータ制御 | |
|---|---|---|
| 発進・停止 | オン・オフの切り替え。衝撃が出る | 滑らかに加速・減速 |
| 音・揺れ | 「ガコン」「ガクン」が出やすい | 静かになりやすい |
| 荷物への影響 | 汁物・食器などは動きやすい | こぼれ・荷崩れが起きにくい |
| 電気代 | — | 消費電力を抑えられる |
| 部品の傷み | 衝撃のぶん負荷がかかる | 負荷が小さく、長持ちしやすい |
MEC
タイガー
ただし、すべての音がこれで消えるわけではありません。レールの擦れや扉の音は、制御方式とは別の話です。まず点検で原因を切り分けてから、判断していただくのが順序です。
「じゃあ買い替えるしかないのか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。制御リニューアル工事という方法があります。
昇降路やかごはそのまま使い、制御盤や巻上機といった「動かす側」だけを新しくする工事です。機体をまるごと入れ替える全撤去・新設と比べて、費用も工期も抑えられます。 このときにインバータ制御へ切り替えることができます。
✅ 音と揺れが小さくなる — テナントや近隣への説明がしやすくなります
✅ 荷物が安定する — 汁物や食器を運ぶ現場ほど効きます
✅ 部品が長持ちする — 衝撃が減るぶん、モーターや駆動部の負担が軽くなります
✅ 古い部品の供給切れに備えられる — 年式が古いと、直したくても部品がないという事態が起こります
⚠️ 音は、劣化のお知らせでもあります。
「うるさいだけで動いてはいる」と放っておくと、ワイヤーやガイドシューの傷みが進み、ある日止まります。 苦情への対応というだけでなく、設備からの合図として受け止めてください。
サラリーマン
タイガー
よく分かりました。まず音を録って、点検で見ていただきます。そのうえで、制御のほうも相談させてください。
小荷物専用昇降機の音・揺れが気になったら、この順番で進めてください。
① いつ鳴るかを確かめる(発進時/走行中/扉の開閉時/特定の階)
② スマホで音を録っておく。点検の日に限って鳴らないことがよくあります
③ まず保守点検で切り分ける。給油・締め直し・部品交換で収まることが多くあります
④ 発進・停止の「ガクン」が主なら、AC1制御そのものが原因のことがあります
⑤ その場合、制御リニューアルでインバータ制御に切り替えるという選択肢があります
音が静かになると、実は設備そのものも長持ちします。 衝撃が減るぶん、部品にかかる負担が軽くなるからです。苦情への対応が、そのまま設備を延命する手当てにもなります。
「テナントから苦情が来ている」「音の原因を調べてほしい」「AC1からインバータに変えられるか知りたい」——現地を拝見したうえでご提案します。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木を中心とした関東圏で対応しております。
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