カフェ店員
タイガー
カフェで働いています。先月、オーナーが代わって、店の設備のことを私が任されることになったのですが、保守点検の費用が毎月のように出ていることに気づきまして…。小荷物専用昇降機(ダムウェーター)は、そもそも点検をしないといけないものなんでしょうか。
MEC
タイガー
設備を任されるのは、大変ですよね。そこに気づかれるのは大切なことです。順番にご説明しますね。
カフェ店員
タイガー
契約書を見たら「POG契約」と書いてあるんですが、何のことか分からなくて。金額が高いのか安いのかも、判断できないんです。
カフェ店員
タイガー
相場の金額を教えてもらえれば、早いんですが…。
MEC
タイガー
結論から申し上げると、保守点検の費用は、「何に対するお金か」を分けて考えると見えてきます。相場の金額よりも、まず中身です。「POG」という言葉の意味も、あとでご説明します。
小荷物専用昇降機は動く機械なので、使っていれば部品は消耗し、年数がたてば劣化します。そこで、定期的に点検と整備をして、故障や事故を防ぐのが保守点検です。実は、似た言葉で費用の性質が違うものが3つあります。
| 種類 | 内容 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 保守点検 | 計画に基づいて定期的に点検・注油などを行う。契約するかどうかは任意 | 契約に基づいて、定期的にかかる |
| 定期検査報告 | 法律で定められた検査と報告。対象になるかどうかは、昇降機1台ごとに決まる(出し入れ口の高さなどで判断)。対象なら、おおむね年1回(報告する時期や、対象の範囲は、地域の行政で異なる) | 保守点検とは別のもの。契約に含まれるかは、契約書で確認する |
| 修繕 | 傷んだ部品や、年数がたって劣化した部品の取替えや修理 | 契約の種類によって、契約の中に含まれる場合と、別に見積になる場合がある |
定期検査報告については、定期検査報告を出さないとどうなるかの記事で説明しています。
カフェ店員
タイガー
保守点検の費用の中に、検査や修繕まで入っているとは限らないんですね。
MEC
タイガー
そのとおりです。「点検費用が安い」だけで判断すると、あとから別の費用が出てくることがあります。その理由を、次に説明します。
専門の技術者が来て、機械室・かご周り・出し入れ口周り・昇降路を点検し、部品の損傷や腐食、劣化がないかを確かめます。注油などの整備も行います。点検のあとには、点検報告書で状態を判定します。当社の判定は次の3段階です。判定の基準は会社ごとに違うので、他社には当てはまりません。
| 当社の判定 | 意味 |
|---|---|
| A | 異常なし |
| B | 異常あり。修繕をご検討ください |
| C | 異常あり。早期の修繕が必要 |
契約書にある「POG」は、Parts(パーツ)・Oil(オイル)・Grease(グリス)の頭文字です。点検に使う消耗品の名前が、そのまま契約の名前になっています。では、どこまでが「POG」に入るのでしょうか。
| POGの範囲 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる:パーツ | 押しボタンの内部の電球、制御盤のヒューズ、点検で使うウェスなど |
| 含まれる:オイル・グリス | 注油や整備に必要な消耗品 |
| 含まれない | 傷んだ部品や、経年で劣化した部品の取替えや修理。別に見積になる |
つまりPOGは、「点検で使う消耗品まで」です。傷んだ部品や、年数がたって劣化した部品を替える費用は、この中に入っていません。なお、範囲は会社によって違うことがあるので、契約書で確認してください。
点検で修繕が必要と判断されたときの、部品の取替えや修理です。傷んだ部品だけでなく、年数がたって劣化した部品(経年劣化)も対象になります。ここが契約の種類によって、契約に含まれるかどうかが変わります。
カフェ店員
タイガー
同じ「保守点検の費用」でも、③が入っているかどうかで、中身がまったく違うんですね。
保守点検の契約は、大きく2種類に分かれます。
| POG契約 | フルメンテナンス契約 | |
|---|---|---|
| 含まれるもの | 点検と、POGにあたる消耗品(パーツ・オイル・グリス) | 点検に加えて、故障した部品や劣化した部品の取替え・修理 |
| 傷んだ部品・古くなった部品の修繕 | 契約には含まれず、別に見積になる | 契約の範囲で対応してもらえる |
| 点検費用の傾向 | 抑えられる | POG契約より高くなる |
| 注意したい点 | 劣化が進んだ昇降機は、故障時の部品代や修繕費を別に考えておく | 人為的な故障、天災、制御リニューアルなど大掛かりな改修は、対象外になっていることが多い |
つまり、点検費用だけを比べても、判断はできません。点検費用と、修繕にかかる費用を足した「年間の総額」で考えるのが、いちばん現実的です。どちらが得かは、昇降機の年数や、使う頻度で変わります。詳しくはPOG契約とフルメンテナンス契約の違いの記事もご覧ください。
💡 点検の記録が残っていると、修繕を最小限に抑えやすくなります。
これまでの修繕記録や点検記録があれば、どこの部品がどのくらい傷んだり古くなったりしているかが分かり、必要な部分だけの修理で済むことがあります。記録がないと、傷みや経年劣化の具合が判断できず、大がかりな修繕になる場合もあります。
カフェ店員
タイガー
前のオーナーの点検報告書が残っているか、探してみます。
使う頻度や設置環境によって、点検の回数は変わります。使用頻度が多い現場では、月に1回、2か月に1回など、回数を増やしたほうが安心です。回数が多いほど、費用は大きくなります。
機種や台数、出し入れ口(停止する階)の数によって、点検する場所が増えます。
先ほどのとおり、POG契約かフルメンテナンス契約かで、点検費用そのものが変わります。
設置から年数がたち、傷みや経年劣化が進んでいる場合は、契約の前に、必要な修理を先に済ませることがあります。金額は、現地を見ないと分からないので、電話だけで決められる性質のものではありません。
✅ 契約の種類
POG契約か、フルメンテナンス契約か。契約書に書いてあるかを確かめます。
✅ 点検の回数と内容
年に何回、どこを点検するのか。点検報告書をもらえるかも確認します。
✅ 修繕が含まれる範囲
傷んだ部品や、経年で劣化した部品の取替えは、どこまで契約に含まれるか。フルメンテナンス契約でも、対象外になる場合を聞いておきます。
✅ 定期検査報告が含まれるか
保守点検の契約とは別なのか、含まれているのか。
✅ 急に止まったときの対応
連絡の手段と、呼んだときの費用の扱い。
この5つは、どの会社の契約書や見積にも使えます。分からない項目を、分からないままにしないことが大切です。
MEC
タイガー
なお、大がかりな修繕の費用については、制御リニューアルの費用の記事で説明しています。
カフェ店員
タイガー
まず契約書で、POG契約の中身と、修繕が別になる範囲を確認してみます。
Q保守点検の契約をしないと、違反になりますか?
契約すること自体は、任意です。ただし、所有者は、昇降機を常に適法な状態に保つよう努める必要があります。そのうえで、定期検査報告は、保守点検とは別に、対象になる昇降機は法律で義務づけられています。対象かどうかは、出し入れ口の高さなどで1台ごとに決まり、地域の行政の指定でも変わります。くわしくはこちらの記事をご覧ください。
Q点検は、年に何回あるのですか?
使う頻度や、設置されている環境によって変わります。回数は、現地と使い方を伺ったうえで決めます。毎日使う店舗と、たまにしか使わない施設とでは、必要な回数が違います。
Q古い昇降機でも、契約できますか?
設置から年数がたつと、契約を断られることがあります。当社では、現地を調査し、必要な修理を済ませたうえで、ご加入いただけます(例外を除く)。まずは現地を見させてください。
Q他社が設置した昇降機でも、点検してもらえますか?
点検できる機種であれば、他社で設置されたものでも対応します。お問い合わせの際に、昇降機の銘板(製造した会社名や型式が書かれた札)の写真と、設置した年が分かると、話が早く進みます。
Q借りている店舗です。点検費用は、誰が払いますか?
貸主と借主のどちらが負担するかは、先に確認してください。負担の考え方は、貸主と借主の責任分担の記事で説明しています。
保守点検の費用は、「何に対するお金か」を分けて考えると、見えてきます。
① 保守点検・定期検査報告・修繕は別のもの。契約にどこまで含まれるかを確認する
② 費用の中身は、点検・消耗品・修繕(傷みや経年劣化への対応)の3つ。③が契約に含まれるかで、中身が変わる
③ POG契約は点検費用が抑えられ、修繕は別。フルメンテナンス契約は修繕込みだが、大掛かりな改修は対象外のことが多い
④ 点検費用だけで比べず、修繕費を足した年間の総額で考える
⑤ 点検の記録を残す。修繕を最小限に抑える材料になる
分からない項目を、分からないままにしないことが、いちばんの備えです。
「いまの契約が、うちに合っているのか知りたい」「保守点検について詳しく聞きたい」——お気軽にご相談ください。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木を中心とした関東圏で対応しております。
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