梅雨の季節になると、連日の雨や高い湿度の影響で、小荷物専用昇降機(ダムウェーター)の調子が悪くなることがあります。この時期は、普段よりも機械に負担がかかりやすく、突然の故障に見舞われるケースが少なくありません。今回は、梅雨に多い故障の事例とその原因、そして未然に防ぐための予測と対策について解説します。
梅雨の時期、特にお問い合わせが増えるのが「制御盤の不具合」と「カゴの停止トラブル」です。これらには湿気が大きく関係しています。
一つ目の事例は、湿気による電子部品のショートです。昇降機を動かす心臓部である制御盤には、多くの精密な電子基板が組み込まれています。湿度が極端に高くなると、基板に結露が生じたり、埃が湿気を吸って通電してしまったりすることで、ショートが起きて動かなくなることがあります。
二つ目の事例は、金属部分のサビによる動作不良です。昇降機のレールや扉の可動部分は金属で作られています。湿気が多い状態が続くと、これらの部分に薄いサビが発生し、扉がスムーズに閉まらなくなったり、途中で引っかかったりして安全装置が働き、運転が止まってしまうのです。
また、雨漏りが原因の故障も無視できません。古い建物の場合、昇降路(昇降機が通る縦穴)の隙間から雨水が侵入し、直接モーターやスイッチにかかって故障させてしまうケースも見受けられます。
なぜこの時期に故障が集中するのでしょうか。その理由は、日本の梅雨特有の「高温多湿」という環境にあります。
小荷物専用昇降機の内部は、狭い空間に機械が密集しているため、空気がこもりやすい構造になっています。湿度が80パーセントを超えるような日が続くと、機械の表面に目に見えない水滴がつく「結露」が発生しやすくなります。この結露が、電気回路にとっては天敵となります。
さらに、梅雨時はカビも発生しやすくなります。リミットスイッチ(停止位置を検知する部品)などの接点部分にカビや汚れが付着し、湿気を帯びることで信号が正しく伝わらなくなる「接触不良」が起こりやすくなるのです。
これらの状況を予測すると、梅雨の晴れ間に急激に気温が上がったときや、大雨が降った直後などは、特に注意が必要です。急激な環境変化が、それまで蓄積されていたダメージを一気に表面化させ、故障という形で現れるからです。

梅雨のトラブルを未然に防ぐためには、日頃のメンテナンスと環境づくりが欠かせません。
まず大切なのは、昇降機周辺の換気です。機械室や昇降路の近くに湿気がたまらないよう、換気扇を回したり、サーキュレーターを活用したりして空気を循環させることが有効です。これだけで、基板の結露を大幅に抑えることができます。
次に、定期的な清掃と注油です。レールの汚れを拭き取り、専用の潤滑油を適切に塗布しておくことで、湿気によるサビの発生を防ぎ、滑らかな動きを維持できます。ただし、油の差しすぎは逆に埃を吸着させる原因になるため、プロによる適切なメンテナンスが推奨されます。
また、もし「いつもより扉の閉まりが遅い」「変な音がする」といった違和感に気づいたら、早めに対処することが重要です。梅雨の時期のちょっとした違和感は、大きな故障の前触れであることが多いため、手遅れになる前に点検を受けるようにしましょう。
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