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小荷物専用昇降機に「検査のお知らせ」はがきが届いたら?定期検査報告の要否と、使っていない場合の休止・廃止手続き

2026.08.17
法律・法規 基礎知識
サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

すみません、ちょっと相談が…。役所から「定期報告のお知らせ」っていうはがきが届いたんです。うちのビルの昇降機のことみたいなんですが、正直どうしたらいいのかさっぱりで…。

MECタイガー

MEC
タイガー

ご安心ください。とても多いご相談です。あのはがき、専門用語ばかりで身構えてしまいますよね。順番にほどいていきましょう。まず、ビルの管理は前からご担当されていたんですか?

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

いえ、この春に前任者から引き継いだばかりで…。2階に荷物を上げる小さい昇降機があるのは知っているんですが、書類も見当たらなくて。そもそも、これって放っておいたらまずいものなんでしょうか?

MECタイガー

MEC
タイガー

結論から言うと、放置はおすすめできません。ただ、小荷物専用昇降機なら必ず定期検査報告が必要、とも限らないんです。機種によっては対象外ですし、使っていないなら休止や廃止という道もあります。ひとつずつ見ていきましょう。

そもそも、あの「検査のはがき」は何?

届いたはがきは、特定行政庁(お住まいの自治体の建築指導課など)からの「定期検査報告」の案内です。地域によっては、昇降機安全協議会などの窓口団体から届くこともあります。

これは建築基準法第12条第3項に基づく制度で、昇降機の所有者・管理者に対し、「資格を持った検査員に定期的に検査させ、その結果を行政に報告してください」と定めたものです。エレベーターやエスカレーターではおなじみの制度ですが、平成28年6月1日の法改正で、小荷物専用昇降機(ダムウェーター)も対象に加わりました

💡 はがきが届いた=行政が「対象の設備がある」と把握している、ということ。
建物の確認申請の記録などから、行政側は昇降機の存在を知っています。「知らなかった」で済ませず、まずは中身を確認しましょう。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

えっ、法律で決まっていたんですか!でも、うちのは本当に小さいんです。人が乗れるようなものじゃなくて、料理や書類を上げるくらいの…。それでも対象なんでしょうか?

定期検査報告が必要なのは、どんな昇降機?

実は、小荷物専用昇降機がすべて対象になるわけではありません。判断の分かれ目は、「荷物の出し入れ口が、床からどれくらいの高さにあるか」です。

昇降路のすべての出し入れ口の下端が、その部屋の床面より50cm以上高い位置にあるものは、定期検査報告の対象から除かれます。人が身を乗り出して入り込む危険が低いため、という考え方です。

タイプ 出し入れ口の位置 定期検査報告
フロアタイプ 床面近く(台車ごと積み込める高さ) 対象になります
テーブルタイプ 腰の高さ〜カウンターの高さ 原則、対象外
フロアタイプの小荷物専用昇降機

フロアタイプ
出し入れ口が床面近くにある

テーブルタイプの小荷物専用昇降機

テーブルタイプ
出し入れ口が台の上にある

⚠️ 「テーブルタイプだから安心」とは言い切れません。
どの設備を報告対象にするかは、最終的に特定行政庁ごとの指定で決まります。地域によっては、テーブルタイプも対象に指定されている場合があります。はがきが届いたということは、その設備が対象と判断されている可能性が高いとお考えください。

判断に迷ったら、はがきの差出人(記載の問い合わせ先)に直接たずねるのが一番確実です。「うちの昇降機は対象ですか」と聞けば教えてもらえます。機種名や設置年が分からない場合は、昇降機本体に貼られた銘板(メーカー名・型式が書かれた金属のプレート)を写真に撮っておくと話が早く進みます。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

なるほど、聞いてしまえばいいんですね。あ、でもうち、保守点検の契約はしているんです。それとは別なんでしょうか?

「法定検査」と「保守点検」は、まったくの別物

ここは本当に間違えやすいところです。保守点検を受けていても、定期検査報告をしたことにはなりません。目的も、実施者の資格も、報告先も違います。

法定検査(定期検査報告) 保守点検
目的 法律で定められた安全確認と行政への報告 故障を防ぎ、長く使うための整備
実施する人 一級・二級建築士、または昇降機等検査員 保守会社の技術者
報告先 特定行政庁(自治体) 報告先なし(お客さまへの報告書のみ)
義務 法律上の義務(対象設備の場合) 任意(強く推奨)

報告の頻度は特定行政庁によって異なりますが、おおむね1年に1回が目安です。そして、報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合には罰則が定められています。「うっかり忘れていた」で済む話ではないので、対象であれば必ず対応しましょう。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

…実は、白状すると。その昇降機、もう何年も使っていないんです。フロアの使い方が変わってしまって。使っていないのに毎年検査っていうのも、正直つらいというか…。

MECタイガー

MEC
タイガー

なるほど、それはとても大事な情報です。使っていないなら、そもそも検査を続けなくていい方法があります。「休止」と「廃止」という手続きです。

使っていない昇降機は「休止」か「廃止」を届け出る

使わなくなった昇降機について、そのまま黙って放置すると、報告義務だけが残り続けます。行政からは「使っていない」ことが分からないためです。きちんと届け出れば、その義務はなくなります。

休止|また使うかもしれない場合

使用を止めて、動かせないよう電源を切る・操作盤を施錠するなどの措置をしたうえで届け出ます。設備は残したまま、定期検査報告の義務がなくなります。「今は使わないが、テナントが変わったら使うかも」という建物に向いています。

ただし、休止には期間の上限があります。1回の届け出で休止できるのは最長2年です。2年を超えて休止を続けたい場合は、あらためて休止届を出し直す必要があります。

⚠️ 「2年」を忘れると、報告義務が復活します。
届け出をしたまま2年が過ぎ、出し直しをしていないと、また定期検査報告の対象に戻ります。届け出た日をカレンダーや管理台帳に控えておくことをおすすめします。担当者が代わるタイミングで抜けやすいポイントです。

そして、再開するときは検査が必要です。休止していた間は検査を受けていないため、届け出だけを出してすぐ動かす、というわけにはいきません。再使用の届け出と、資格者による検査をあわせて行ってから使い始めることになります。

廃止|今後もう使わないと決めた場合

設備を使わないことを確定させる届け出です。撤去工事とあわせて行うのが一般的です。いったん廃止すると、同じ昇降機を再び使うことはできません。また使いたい場合は、新しく設置する扱いになり、確認申請からやり直しになります。

使い続ける 休止 廃止
検査報告 必要(毎年) 不要 不要
また使えるか 届け出+検査を経て再開できる できない(新設扱い)
設備 そのまま 残す(使えない状態にする) 撤去することが多い
向いている建物 日常的に使っている 今は使わないが将来使うかも 用途が変わり今後も使わない

届け出の名称や様式は自治体によって少しずつ異なり、「特定建築設備等 廃止・休止届」といった名前で用意されています。提出先も、特定行政庁に直接の場合と、地域の昇降機安全協議会などを経由する場合があります。届いたはがきに記載の窓口で確認するのが確実です。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

選べるのはありがたいですが…どれにするか、決めきれないですね。何を基準に考えればいいでしょう?

継続・休止・廃止、どう選ぶ?

決める前に確認したい4つのこと

✅ この1年で、実際に使った場面はあったか

✅ 建物の使い方が今後変わる予定はあるか(テナント入れ替え・改装など)

✅ 昇降路(かごが通る縦の空間)を別の用途に使う予定はあるか

✅ 撤去する場合、壁や床の復旧工事にどれくらいかかるか

考える順番は、①使い続ける → ②休止 → ③廃止がおすすめです。上のチェックで「使う場面がまだありそう」と少しでも思うなら、年1回の検査を続けるのがいちばん確実です。休止は一見ラクに見えますが、2年ごとに届け出を出し直す手間が続き、再開するときには結局検査を受けることになります。
今後もう使わないとはっきりしている場合にかぎって、休止や廃止を検討しましょう。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

でも、あまり使っていないのに毎年検査を受けるのは、もったいない気もして…。休止のほうが安く済みませんか?

MECタイガー

MEC
タイガー

短く見ればそうなんですが、昇降機は動かさないほうが傷むんです。油が固まり、ワイヤーやレールに錆が出て、電気部品は湿気で劣化します。数年ぶりに動かそうとしたら大きな修理が必要だった、というのは珍しくありません。年1回の検査と保守点検を続けたほうが、長い目で見て安く収まることが多いんですよ。

MECタイガー

MEC
タイガー

それと、はがきには提出の期限が書かれています。まずはそこだけ確認しておいてください。間に合いそうになければ、窓口に事情を伝えて相談すれば大丈夫です。黙って過ぎてしまうのがいちばんよくありません。

サラリーマンタイガー

サラリーマン
タイガー

気が楽になりました。まずは期限を見て、窓口に「対象かどうか」と「使っていない場合どうすればいいか」を聞いてみます。ありがとうございました!

まとめ

小荷物専用昇降機に届く「検査のお知らせ」はがきは、建築基準法にもとづく定期検査報告の案内です。あわてず、次の順番で確認してください。

① はがきに書かれた提出期限を確認する

② 自分の昇降機が対象かどうかを窓口に確認する

③ 対象なら資格者による検査を手配する(使う見込みが少しでもあるなら、年1回の検査を続けるのがおすすめ)

④ 今後もう使わないと決まっているなら休止・廃止の届け出を検討する

なお、保守点検を受けていても定期検査報告をしたことにはなりません。ここは混同しやすいのでご注意ください。また、長く止めたままの昇降機は、動かさないことでかえって傷みます。年1回の検査と保守点検を続けておくほうが、いざ使うときに慌てずに済み、費用も抑えられます。

「うちの昇降機は対象なのか」「検査を頼みたい」「休止と廃止、どちらがいいか」でお迷いの方は、お気軽にご相談ください。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木を中心とした関東圏で対応しております。

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