サラリーマン
タイガー
お世話になります…。実は今日、役所から「督促」と書かれた封筒が届きまして。昇降機の定期報告の件のようなんですが、正直、頭が真っ白でして。
MEC
タイガー
落ち着いて大丈夫です。今日いきなり何かが起きるものではありません。差し支えなければ、これまで報告を出されたことはありますか?
サラリーマン
タイガー
…白状しますと、3年ほど出していません。はがきは毎年来ていたのですが、前の担当から引き継いだときに何も聞いておらず、「うちは小さい設備だから関係ないのだろう」と思い込んでいて…。
MEC
タイガー
正直にお話しくださってありがとうございます。珍しいことではありません。結論から申し上げると、いま動けば大丈夫です。いちばんまずいのは、この督促も放っておくことと、事実と違う報告を出してしまうことです。
サラリーマン
タイガー
やはり罰則があるのでしょうか。ニュースで「罰金」という言葉を見た記憶があって、それが気がかりで…。
いいえ。行政は段階を踏んで働きかけてきます。 一度出し忘れただけで罰金、ということはありません。ただし、無視を続ければ最後には罰則にたどり着きます。
| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| ① お知らせ | 検査の時期が近づくと、はがきや通知書が届く |
| ② 未提出の通知 | 期日までに出さないと、あらためて通知が届く |
| ③ 督促状 | それでも出さないと督促状が届く(いまここ) |
| ④ 立入調査・指導 | 行政の担当者が現地を調べに来ることがある |
| ⑤ 公表 | 自治体によっては、建物名や所有者名が公表されることがある |
| ⑥ 罰則 | 100万円以下の罰金(建築基準法第101条) |
💡 督促状が届いた段階は、まだ十分に間に合います。
むしろ「気づくきっかけをもらえた」と考えてください。ここで窓口に連絡すれば、行政は事情を聞いたうえで進め方を教えてくれます。 手続きの相手は、取り締まりに来た人ではありません。
建築基準法第101条では、定期報告をしなかった場合、またはうその報告をした場合、100万円以下の罰金と定められています。対象になるのは、報告義務を負う所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)です。
ここで見落とされがちなのが、「報告しない」だけでなく「うその報告をする」も同じ罰則の対象だということです。検査を受けていないのに受けたことにする、指摘があったのに無かったことにする——こうした対応は、未報告よりも重く見られます。
⚠️ 検査をした資格者がうその報告をした場合も罰則があります。
資格者側にも30万円以下の罰金が定められています。「なんとかしてほしい」という頼み方は、頼まれた側も罰せられる話だとご理解ください。まっとうな会社ほど、それは引き受けられません。
サラリーマン
タイガー
なるほど、隠すほうが危ないんですね。正直に出すことにします。ただ、罰金以外にも困ることはあるのでしょうか?
これがいちばん重い話です。未報告のまま使い続けていた昇降機で事故が起きたら、「必要な検査を受けず、法律で定められた報告もしていなかった」という事実が残ります。荷物の落下や引っ掛けでけが人が出た場合、その責任の重さがまるで変わってきます。
報告は紙の手続きですが、その前提には資格者による実際の検査があります。何年も検査していないということは、ワイヤーロープの傷み具合も、ブレーキの利き具合も、誰も把握していないということです。書類の問題である前に、安全の問題です。
建物の売買や、テナントの入れ替え、担当者の交代——こうした場面では、定期報告をきちんと出してきたかどうかの記録が問われます。「報告済証が見当たらない」という状態は、次の人に負債を渡すことになります。
毎年見ていれば少しずつ手を入れられたものが、何年も放置すると一度に大きな修繕になります。部品によっては生産が終わっていて、制御盤ごと交換するしかない、という話にもなりかねません。
✅ ① まず督促状に書かれた窓口へ連絡する
「何年出していないか」を正直に伝えてください。過去の分をどう扱うかは特定行政庁の判断ですので、自己流で決めずに聞くのがいちばん早く済みます。
✅ ② その設備が本当に報告の対象か確認する
小荷物専用昇降機は、機種によって対象外のこともあります。ただし督促が来ているなら、対象と判断されている可能性が高いとお考えください。
✅ ③ 資格を持った検査員に検査を依頼する
報告書は誰でも書けるものではなく、昇降機等検査員などの資格者による検査が前提です。保守点検を頼んでいる会社があれば、そこに相談するのが早道です。
✅ ④ 検査結果を添えて報告する
自治体によってはオンラインでの提出もできます。提出できたら、報告済証は必ず保管してください。次の担当者への引き継ぎ資料になります。
サラリーマン
タイガー
ひとつ心配なのが、3年も放っておいた設備が検査に通るのかということでして…。悪いところが見つかったら、報告そのものができないのでしょうか?
よくある誤解ですが、「合格しないと報告できない」制度ではありません。定期検査報告は、設備の状態をありのまま行政に伝えるための仕組みです。
検査で問題が見つかった場合、報告書には「要是正」や「要重点点検」といった区分で記載されます。そのうえで直し、改めて報告するという流れです。指摘が出ることを恐れて報告を先延ばしにするのが、いちばん避けたい形です。
💡 「直すお金がないから報告できない」というご相談もよくいただきます。
その場合も、まず報告してください。危険度によっては、すぐ直すべきものと、計画的に直していけるものに分かれます。 何が急ぎで何が後回しでよいかは、検査を受けてはじめて分かります。
MEC
タイガー
それと、報告は一度出せば終わりではありません。原則として毎年続くものです。今回を機に、保守点検の契約とあわせて年間の流れを決めてしまうと、来年から悩まずに済みますよ。
サラリーマン
タイガー
気持ちが軽くなりました。まず窓口に電話して、正直に事情を話してみます。検査のほうもお願いできますでしょうか。
小荷物専用昇降機の定期検査報告を出さないと、どうなるのか。整理すると次のとおりです。
① いきなり罰金にはなりません。通知 → 督促 → 立入調査 → 公表 → 罰則、と段階を踏みます
② 罰則は100万円以下の罰金(建築基準法第101条)。うその報告も同じ対象です
③ 罰金より重いのは、事故が起きたときの責任と、設備の状態が誰にも分からないという事実
④ 何年も出していないなら、まず督促状の窓口に正直に連絡する。過去分の扱いは行政が教えてくれます
⑤ 指摘が出ても報告はできます。「合格しないと出せない」制度ではありません
督促状が届いたということは、まだ間に合う段階だということでもあります。放置さえしなければ、たいていは落ち着くところに落ち着きます。
「何年も出していないが、今からどうすればいいか」「検査を頼みたい」「指摘が出たがどこから直すべきか」——お気軽にご相談ください。東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木を中心とした関東圏で対応しております。